ロバーバル機構本論(本文)

 

 

 

(1)均衡(つり合い)現象について

 

  目の前に、三角形の木製のハンガーがあります。

そのハンガーが揺れていて、次第にその揺れが小さくなって、やがてズボン掛けの部分が水平となって静止します。

 このように、「均衡」すなわち「つり合い」は、日常生活の中でも頻繁に目にすることができます。

 

ロバーバル機構においてもこのような「均衡」が生じています。そしてこのロバーバル機構における「均衡」を、「ロバーバル均衡」と呼ぶこととします。そしてロバーバル均衡以外の均衡を「一般均衡」と呼ぶこととします。

すなわち「ロバーバル均衡」もまた「均衡」」現象の一種です。

 しかしロバーバル均衡は一般均衡とは、やや異なる「特性」を持ちます。

 

(2)ロバーバル機構について

 すでに述べたように「ロバーバル機構」は、「図 ロバーバル機構模式図」のような構造をしています。ここでこの「模式図」を少し修正して、「ロバーバル機構概念図」を参照図として掲示します。そしてこのような「ロバーバル機構」を「原型ロバーバル機構」と呼ぶこととします。「原型ロバーバル機構」においては、左右の支柱にそれぞれ「重り」が付いており、その「重り」の重さは「同じ」です。そしてその「重り」はその付属している支柱を回転できるようになっています。そしてその「回転」によって各重りの重心と主柱までの「距離」を一定「変える」ことができるようになっています。

 

ここで左側の重りをとし右側の重りをBとし、Aの重さをW1とし、Bの重さをW2とします。そして主柱から重りAの重心まで距離をaとし、主柱から重りBの重心までの距離をbとします。

ここで「原型ロバーバル機構」においては常にW1=W2です。そしてaとbの値のみが変わります。

当面はこの「原型ロバーバル機構」について分析し、その後その応用型である「等比皿手動はかり」や、さらにその発展形である「不等比皿手動はかり」について分析を行なうこととします。

 

さて「一般均衡」では、「モーメントの公式」が成立します。すなわちW1×a=W2×bとの公式が成立します。

 ここで「原型ロバーバル機構」においては常にW1=W2です。

 すると「一般均衡」ではこの場合、a=bの場合は重りAと重りBとは「つり合う」(均衡する)が、a≠bならば、重りAと重りBとは「つり合わない」こととなります。

「ロバーバル均衡」では、これと異なります。

 

原型ロバーバル機構の「重り」を回転させて、a=bとします。重りの重さは常にW1=W2です。この場合「一般均衡」と同じく、「ロバーバル均衡」においても、重りAと重りBとは「つり合い」ます。

しかし「ロバーバル均衡」が「一般均衡」と異なるのはこれからです。

 原型ロバーバル機構の「重り」を回転させて、a≠bとします。「一般均衡」ではこの場合は「失衡」します。しかし「ロバーバル均衡」においては、不思議なことに、重りAと重りBとが「均衡」してしまうのです。

 すなわちこの場合には「モーメントの公式」が「成立しない」のです。

 ここに「ロバーバル均衡」についての大きな「謎」が生じます。

これはいったい「何故」なのか、この「謎」の解明こそ本章の目的です。

 

ここで「原型ロバーバル機構」では、W1=W2の場合についてa=bの場合とa≠bの場合とを見てきました。

 しかし「原型ロバーバル機構」ではW1=W2の場合しか分かりません。

 すなわちW1≠W2の場合は、どうなるのかが分かりません。

 何故ならば「原型ロバーバル機構」しておいては左右の重りは「同じ」重さのまま、それぞれの支柱に付着しているからです。

 しかしこの「原型ロバーバル機構」の「発展型」である「等比皿手動はかり」を使えば、W1≠W2の場合における「ロバーバル均衡」について簡単に「実験」することができます。

 

 (3)位置偏異と質量偏異について

 ここで「用語」の整理をしておきます。

 まず「つり合うこと」を「均衡」(きんこう)と表現します。

 そして「つり合わないこと」あるいは「つり合いを失うこと」と「失衡」(しっこう)と表現します。

 次にA、B二つの物体(重り)においW1=W2でありa=bで均衡している場合を「基本均衡」とします。

 

そしてこの「基本均衡」の状態からa≠bとなる場合、すなわち重りAあるいは重りBの「位置」が変わる場合に、これを「位置偏異」(いちへんい)と呼ぶこととします。「偏異」とは、「基本均衡」から、重りAあるいは重りBの「位置」が「偏り異なっている」ことを表わしています。

 

次にこの「基本均衡」のa=bかつW1=W2の状態に対して、W1=W2では無い、あるいはW1=W2では無くなる場合、すなわちW1≠W2の場合を「質量偏異」と呼ぶこととします。

 

 (4)等比皿手動はかりについて

 さて、この「等比皿手動はかり」とは参照図「等比皿手動はかり概念図」のような構造をしています。

 

「原型ロバーバル機構」もその発展型である「等比皿手動はかり」も、基本的にはその構造が同じです。すなわち、横に渡した2本の「さお」があり、その中央にこれらの「さお」を支える「主柱」があります。そしてその主柱の左右に支柱があり、この2本の支柱と2本のさおで1つの大きな平行四辺形を形成します。そしてその一つの平行四辺形は、また左右二つ平行四辺形へと分割されます。

 

ここまでは「原型ロバーバル機構」も「等比皿手動はかり」も同じです。

 異なるのは、「原型ロバーバル機構」において、各重りがさおの下側で各支柱の中間部分に付着されているのに比し、「等比皿手動はかり」では、重りを置くべき「皿」が、さおの「上側」にあることです。すなわち「上皿」(うわざら)となっています。

「等比皿手動はかり」のこの構造により、容易に計る物を変えることができ、また計る物の「重さ」も自由に選ぶことができるようになります。

 

そこでこの「等比皿手動はかり」を用いて実験をしてみます。ただしここでは「皿の中心点」が重要です。そこで左側の皿の中心点をC1とし、右側の皿の中心点をC2とすると、「等比皿手動はかり」の構造上、C1=C2です。なお、重りA、重りBは各「皿」の上にのみ載せるものとします。

 

  ① W1=W2で、重りAをC1に、重りBをC2に載せる場合。重りAと重りBとは均衡します。

   ② W1≠W2で、重りAをC1に、重りBをC2に載せる場合。重りAと重りBとは均衡しません。即ち「失衡」します。

 ここまではロバーバル均衡も一般均衡と何ら変わりません。しかし驚くべきことは以下の場合です。

   ③ W1=W2で、重りAをC1以外に載せ、重りBは任意の部分に載せた場合。重りAと重りBとは均衡します。

 

つまり、W1=W2であるならば、重りAとお降りBをそれぞれの「皿」の「どの部分」に載せても、重りAと重りBとは「均衡」するのです。これが「ロバーバル均衡」の不思議さであり、「原型ロバーバル機構」と「同じ」現象が「等比皿手動はかり」にも生じるのです。

 

すなわち「ロバーバル均衡」においては、重りAと重りBとの「重さ」が同じであれば、重りAと重りBとは「位置偏異」に関わりなく」「均衡」するのです。ただし実際の「等比皿手動はかり」において、皿に載せる位置によっては多少の「誤差」が生じる場合もあります。この「誤差」を「偏置誤差」と呼びます。

 

しかしこの「偏置誤差」があるにしても、基本的には位置偏異に関わり無くロバーバル均衡において重りAと重りBとはつり合います。すなわちこの限りにおいて、ロバーバル均衡においては「モーメントの公式」が成立「しない」のです。この点がまさに「驚き」であり「謎」なのです。

 

以上のことより次のことが分かります。ロバーバル均衡において、「モーメント」の観点から言うと、皿の「中心点」における「モーメント」と皿の中心「以外」の「モーメント」とは、「同じも同然」となっています。

このことを「ロバーバルモーメント」と表現すると、「ロバーバル均衡」において、その「上皿」上におけるロバーバルモーメントは、「全て同じ」となります。この事より、次の重要結論が導かれます。

 

 ④ W1≠W2の場合、各上皿の「どの部分」に重りAと重りBとを載せても、重りAと重りBとは「必ず」「つり合わない」との結論が導かれます。「モーメントの公式」の観点から見て、左右の皿上の「どこか」につり合うべき位置があったとしても、その位置において重りAと重りBとは「つり合わない」のです。何故ならば、重りAと重りBとがC1とC2において「つり合わない」関係にあるとすれば、ロバーバル均衡においては上皿上に「ロバーバルモーメント」が成立するがゆえに、上皿の「どこ」に重りAと重りBとがあろうとも重りAと重りBとは必ず「つり合わない」からです。

 

そしてロバーバル均衡のこの作用のおかげで、等比皿手動はかりは、一定重さの物を正確かつ迅速に計るのに適したはかりとなります。

 

さて以上の事をまとめると次のようになります。

 

  ロバーバル均衡において、重りAと重りBとの重さが「同じ」であれば重りAと重りBとは「均衡」し、重りAと重りBとの重さが「違えば」重りAと重りBとは「失衡」します。

すなわちロバーバル均衡は、「質量偏異」に対して「応答します」。

 

これに対して、重りAと重りBの重さが同じ場合、重りAと重りBとが「上皿」のどこにあろうと、重りAと重りBとは均衡します。すなわちロバーバル均衡は、「位置偏異」に対しては「応答しません」。

 

ロバーバル均衡において、「位置偏異」に応答しないこと自体が一つの大きな「謎」ですが、ここに新たな「謎」が生じています。ロバーバル均衡が、「位置偏異」に対して「応答しない」にも関わらず「質量偏異」に対しては「応答する」というこの「二重性」、この「選択性」が「新たな」謎となります。

 そしてこの「謎」をめぐって、「位置偏異」を立てれば「質量偏異」が立たず、「質量偏異」を立てれば今度は「位置偏異」が立たないという「堂々巡り」に陥り、この「無限ループ」から抜け出すことは容易ではありません。

そしてこの無限ループから抜け出す為には、「鉛直抗力論」を土台として、「均衡現象」そのものを分析していく他ありません。

この為には、まずは「ロバーバル均衡」以外の「一般均衡」について、分析・考察を進めていくこととします。

 

(5)静的均衡と動的均衡について

 次に、「運動」の観点から、「均衡」について分類すると、「静的均衡」と「動的均衡」とがあります。

「静的均衡」とは、先程のハンガーが静止している状態での均衡です。これに対して、「動的均衡」とはハンガーが左右に揺れている状態での均衡です。

 

バネ式のはかりは、バネの弾力と重力との「均衡」により、その物の重さをはかるものですが、「静止状態」で物を計るという点では「静的均衡」を利用しています。電気式はかりについても、電用による種々の力と重力とを均衡させて、その物の重さを計量しています。

 

これに比し、「動的均衡」を利用して物の重さを計るはかりもあります。その典型がいわゆる「天びん」です。天びんは、「さお」の両端に「皿」を吊るし、さおの真中にさおと直角に「指針」を配置し、その指針に目盛付の「度表」を付した構造となっています。

そして左右の皿の一方に基準となる分銅を置き、もう一方の皿に計る対象となる物を置き、左右がつり合うように分銅を調整して、その物の重さを計ります。天びんの左右の皿が振れ、またさおが振れるのと同期して、この「指針」も左右に振れます。そしてこの指針の先端が指す度表の目盛りの「値」を読むことによって、より細かく物を計ることができます。

天びんによる詳しい計測方法について、ここでは省略しますが、要するに天びんでは「動的均衡」の状態で物の重さを計ります。

すなわち例えば左側の皿に1kgの基準となる分銅を載せ、他方の皿に、重さ不明の物を載せ、天びんの皿と指針を左右に揺らし、例えば指針が右に+3まで振れた後反転し、その後左に-3まで振れた後に反転するとすれば、左右の皿の重さは「つり合っている」、したがって左側の皿に載せた分銅が1kgであるならば、右側の皿に載せた物の重さもやはり1kgということになります。

 

天びんは構造上、比較的長く振れ続けます。それがゆえに、天びんにおいては「静的均衡」の状態ではなく、「動的均衡」の状態で物の重さを計ります。

 しかしとは言っても、その後摩擦や空気抵抗等によって、天びんの「振れ」は次第に減衰し、指針の先端は度表の(3-3)÷2=0の点へと収束して行きます。この収束点を一般に「静止点」と呼びます。動的均衡と静的均衡との関係は、以上のようなものです。

 

天びんと同様に「動的均衡」において物を計るはかりとしては、先ほどの「等比皿手動はかり」(いわゆる「上皿天びん」)があります。

天びんが「さお」の「下側」に「皿」があるのに比し、等比皿手動はかりは、「さお」の「上側」に「皿」があり、これがゆえに「上皿天びん」と呼ばれることもあります。昔は、薬局の薬剤師方等が多く使っていました。天びんと違い皿が上皿なので、作業がし易いという特徴があります。

なおこの等比皿手動はかりと形状が類似したはかりとして「手動指示併用はかり」というものがありますが、この手動指示併用はかりは、油や磁石を使って急速に振れを減衰させ、「静止均衡」の状態で、物の重さを計るはかりです。

 

さて等比皿手動はかりですが、この等比皿手動はかりは、「ロバーバル機構」そのものと言っても良いもので、ロバーバル機構の特色を顕著に表わしています。

ということは、ロバーバル機構の「本質」を解明しようと思えば、その「静的均衡」のみならず「動的均衡」までをも解明しなくてはなりません。

天びんと等比皿手動はかり、この両者は、同じく「動的均衡」において物の重さを計ります。

しかし、「同じ」動的均衡であっても、私の目には何かしら「違い」が感じられます。天びんや等比皿手動はかりの「大きさ」にもよりますが、天びんのややゆったりとしたワルツのような振りに対して、等比皿手動はかりの「振り」はやや激しく、またあたかもバネ仕掛けのように少しリズミカルに感じられます。

このこともロバーバル機構の「本質」の分析において、解明すべき「謎」のように思われます。

 

以上のように、「運動」の観点から分類すると「静的均衡」と「動的均衡」があり、一般的には一定の時間の経過の後、動的均衡は静的均衡へと「収束」していくことが分かりました。

 

次に分析すべきことは、それでは「どのような場合」に、この「静的均衡」また「動的均衡」が成立するのか、ということになります。

 

(6)均衡三角形について

 再び、「揺れる「ハンガー」へと戻ります。

 ハンガーは「何故」揺れるのか?

 すなわちハンガーは「何故」「動的均衡」となり、やがて「静的均衡」へと収束するのか?

 ここで、ハンガーの「形状」に着目します。

 

ハンガーから細部を捨象し、その「構造」のみを抽出すると、やや平べったい「二等辺三角形」となります。

 ということは、まずはこの「二等辺三角形」に「動的均衡」・「静的均衡」の解明の「鍵」があるものと思われます。

そしてこの「二等辺三角形」の両端に「重り」を付け、これを二等辺三角形の頂点部分を支点として、吊るしてみます。

すると重りの重さが「同じ」であると、この二等辺三角形の「底辺」は「静的均衡」においては「水平」の状態になるものと思われます。この「水平状態」における「均衡」を、「水平均衡」、あるいは略して「平衡」と呼ぶこととします。

 

以上のように、「二等辺三角形」において、その両端に吊るす「重り」の重さが「同じ」で、あれば、この「二等辺三角形」は「静止状態において、「平衡」します。

しかし、「常に」そうでしょうか?

 

ここでこの「二等辺三角形」を「逆さ」にします。つまり「頂点」(支点)を下側とします。すると、この二等辺三角形は、たちまちのうちに「転倒」します。すなわち「逆」二等辺三角形の状態では「安定」しないのです。

 無論「理論上」は、この「逆」二等辺三角形を「逆さ」の状態で「平衡」させることも可能です。しかし「鉛筆」を削った芯の先を下にして直立させるのと同様に、これは現実には不可能です。何故ならば、現実世界は多数の要因において、絶えず「揺らいで」いるからです。

 

このように、「順」二等辺三角形は、「動的均衡」を生じ、やがてその「振り」が減衰して「静止均衡」へと到ります。他方「逆」二等辺三角形は不安定な状態で転倒します。すなわち「失衡」します。

それでは、それは「何故」「順」二等辺三角形が「動的均衡」を生じるのかが、次の問題となります。

 この問題を図無しに行なうことは困難なので、参照図の「均衡三角形」とベクトルによって分析します。

 

「順二等辺三角形」の場合には、二等辺三角形の底辺が右に振れたとすれば、この底辺部分における右側の押力ベクトルが、左側の押力ベクトルより大きくなります。この結果、右に回転運動した底辺部分は、その動きを反転します。その結果底辺部分は左側へと回転運動を始めますが、底辺部分が左側に振れて行くにつれて、今度は底辺部分において、左側の押力の方が右側の押力よりも大きくなって行きます。しかしそれでもしばらくの間は「惰力」によって底辺部分は左側へと回転運動を続けます。

 

しかしその「惰力」が尽きるとともに、底辺部分の運動は反転し、今度は右側へと回転運動を始めます。このようにして、底辺部分左右への往復運動が持続し、「運動均衡」状態となります。

 

しかしこの「運動均衡」も、その運動が摩擦や空気抵抗等によって次第に減衰して行き、次第に「静止均衡」の状態へと近づいて行きます。そして一旦「静止均衡」の状態に到るや否や、外力の働かない限り、再び「運動均衡」には戻りません。何故ならば、「静止均衡」において、底辺部分における左右の「押力」が「等しく」なり、その結果、静止状態においてこの二等辺三角形が「安定」するからです。このように「順」二等辺三角形においてはW1=W2の掲合、重りAと重りBとは「均衡」します。従ってこの「順」二等辺三角形を、「均衡三角形」と呼ぶこととします。

 

以上はW1=W2でかつa=bの場告でした。

しかし「一般均衡」においてはW1≠W2であっても、「W1×a=W2×b」のモーメントの公式が成立する限りにおいて重りAと重りBとは「均衡」するのでした。この時に生じる「三角形」については、必ず「不等辺」の三角形となります。何故ならば、W1≠W2で「均衡」する場合には、必ずa≠bとなるからです。ここでこの「不等辺」の三角形を「不等辺三角形」と呼ぶこととします。そして「不等辺三角形」においにも「逆」不等辺三角形の場合は「転倒」します。つまり「失衡」します。これに比し、「順」不等辺三角形の場合においても「W1×a=W2×b」が成立する限り、「均衡」します。従ってこのような「順」不等辺三角形についても、「均衡三角形」と呼ぶこととします。したがって「均衡三角形」は「順」「二等辺三角形」及び「順」「不等辺三角形」ですので、結局「均衡三角形」は「順」「三角形」ということとなります。

 

 

 

(7)側方鉛直抗力と均衡三角形について

 ここで「順」三角形においては「均衡」が成立し、「逆」三角形においては「均衡」が成立しません。

 このことを「鉛直抗力」の「類型」に当てはめると次のようになります。

   「順」三角形は、「側方鉛直抗力」における「張力型鉛直抗力」に対応しています。

   「逆」三角形は、「側方鉛直抗力」における「押力型鉛直抗力」に対応しています。

 ここで「逆」三角形は安定して均衡しないのですから、「均衡現象」の分析においては、「押力型鉛直抗力」についての考察を省き、「張力型鉛直抗力」のみを考察することとします。

 

 さてこれまでの「側方鉛直抗力」の分析に際しては、基本的に「壁」が有り、「張力型側方鉛直抗力」において、「張力点」も「押力点」も、ともに「壁」にありました。

   しかしこの「均衡三角形」においてはその事情がやや異なります。

 「均衡三角形」においては、「壁」や「柱」に「張力点」は有っても、「押力点」はそもそも「有りません」。

 

「側方鉛直抗力」において、側方に鉛直抗力が伝搬される為には「水平抗力」の助けが必要です。「張力型側方鉛直抗力」においては、「張力」がこの「水平抗力」と「鉛直抗力」の双方を供給します。するとこの「張力」の作用によって、均衡三角形の底辺部分に、この「水平抗力」に対抗して、「逆方向」に「水平抗力」が形成されます。ここでその「逆方向」の水平抗力を「逆水平抗力」と表現することとします。そしてその「逆水平抗力」は「押力」として形成されます。

 

その結果この均衡三角形において、底面部分には物体Aの側からは物体Bへと到る「押力FAB」が生じます。他方、物体Bの倒からも物体Aへと到る「押力FBA」が生じます。するとその結果、「押力FAB」と「押力FBA」とが底辺部分において「押し合う」結果となります。

 

ここで押力FAB>押力FBAであれば、底辺部分は右に移動します。その結果、均衡三角形は反時計回り(左回り)に「回転」します。

 逆に押力FAB<押力FBAならば、底辺部分は左に移動します。その結果、均衡三角形は時計回り(右回り)に「回転」します。

 次に押力FAB=押力FBAならば押力FABと押力FBAとは「均衡」しています、その結果均衡三角形は「回転」しません。つまりは「均衡」します。

 

 (8)斜方鉛直抗力と均衡三角形について

 ここでW1=W2でありかつa=bで、「均衡三角形」が「静止均衡」しているものとします。

 

ここでこの均衡三角形の例えば左側の重りAを、人為的・一時的に右側に「押した」とします。つまり人為的・一時的に押力FABに追加「追加押力」を加えたとします。そしてこの「追加押力」を「押力FCB」とします。するとこの追加「押力FCB」によって均衡三角形の底辺部分は右側へと動かされます。その結果この均衡三角形は「反時計回り」(左回り)に回転します。

 

ここでこの「均衡三角形」をストップさせます。

すると均衡三角形の右側の角(かど)の方が左側の角(かど)より、その位置が「高く」なっています。

そしてこの状能を観察するとこの均衡三角形の右側部分が「張力型上斜方鉛直抗力」に対応し、左側部分が「張力型下斜方鉛直抗力」に対応していることが分かります。

 

ここでこの「均衡三角形」の回転をストップさせた時点では押力FAB+押力FCB=押力FBAとなり、この状態で停止します。

 そして次には、手を離します。すると押力FCB=0となるので、押力FAB+<押力FBAとなり、今度は均衡三角形の底辺部分が左方向へと動き始めます。この結果均衡三角形は右回転を始めます。

 

そして一旦運動を始めた均衡三角形は、その「惰力」によって、静止すべき位置を通り過ぎて今度は左側の方が「張力型上斜方鉛直抗力」」の形となり、左側の方が「張力型下斜方鉛直抗力」の形となります。その結果今度は左側から押力FAB>押力FBAとなって、均衡三角形の底辺部分が、右方向へと押されます。その結果、均衡三角形が今度は左回転を始めます。

このようにして均衡三角形は運動均衡を持続し、やがて再び静止均衡へと収束します。

 

 (9)鉛直抗力と運動均衡について

この運動均衡において、重りBが回転しながら落下し他方重りAが回転しながら上昇していく過程では、重りBは相対的に「軽く」なり、逆に重りAは相対的に「重く」なります。

 

また重りAが回転しながら落下し重りBが回転しながら上昇する過程では、今度は重りAが相対的に軽くなり、逆に重りBが相対的に「重く」なります。これは下降するエレベーターの中では物が相対的に軽くなり、逆に上昇するエレベーターの中では物が相対的に重くなるのと同じ理屈です。しかしいずれの過程においても、重りAと重りBとのとの重さの差は相殺されます。したがって重りA+重りBの「重さ」は、常に一定です。

 

このことより次のことが分かります。「重さ」、すなわち重力は鉛直抗力より生じます。したがって、運動均衡において、重りAに対する鉛直抗力は常に変動しており、重りBに対する鉛直抗力も同様です。しかしながら、重りAに対する鉛直抗力と重りBに対する鉛直抗力の「合計」は一定です。

このように、物体に対する鉛直抗力の作用は常に一定とは限りません。

物体の運動・状態に応じて鉛直抗力は常に変動しています。

 このように鉛直抗力は単に静的なばかりでは無く、「動的な力」でもあります。

 

 (10)均衡の類型について

 ここで更に分析を深めます。

 これまでの分析においては、「運動均衡」にしろ「静止均衡」にしろ、「水平均衡」(平衡)を前提として考察をしていました。

 

しかし実際には、これ以外に重要な「均衡」として、「傾斜均衡」と「垂直均衡」とが、あります。また特殊な「均衡」としては、「プロペラの羽」の部分のように、回転軸に対して、全方位で「均衡」する、いわば「全方位均衡」があります。また落下中の物体のように、「均衡」そのものが観念できない場合があります。落下中の物体において「均衡」が観念できないのは、落下中の物体においては鉛直抗力から切断されている為に鉛直抗力が作用できず、したがって、「引力」は作用するが「重力」は作用しないという状態、すなわち「無重力」の状態となるからです。

しかしともあれここでは「ロバーバル機構」に関わる範囲で、すなわち「傾斜均衡」と「垂直均衡」の範囲で、考察を進めることとします。

 

 (11)均衡三角形の傾斜について

 参照図として、「均衡三角形」を掲示しておきます。

 

まずは均衡三角形と位置偏異との関係について考察を進めます。さてここで順二等辺三角形において、左右の重りが「同じ」重さであると、この二等辺三角形の底辺部分は「水平」となるのでした。

 

この状態で先ほどのように、一時的に人為的にこの二等辺三角形の底辺を右側に押してみましょう。すると押すと左側から右側の方向と「押力」を感じるでしょう。そして更に押すと更に力を感じるでしょう。これを更に押していくと、その底辺は「垂直」に近くなっていくでしょう。しかしこの二等辺三角形がここまで傾くと「はかり」としては意味を持ちません。したがって通常のはかりには一定の「傾斜限界」 があり、「等比皿手動はかり」には「振れ止め」があり、「台はかり」には「にらみ窓」等があります。この傾斜限界を超えれば、「はかり」としては実質的には「失衡」となります。

 

ここで重要なことは、左側へと押すにつれて、右側から「押し返す力」(押力)が「増す」ことです。つまり「傾斜」の増大とともに、これに抗する「逆押力」も増すのです。そしてこの「押力」によって重りAと重りBは元の「水平均衡」に戻ろうとし、結果「水平均衡」へと戻るのです。

 このことより「水平均衡」においては、この「押力」が決定的な役割を果たしていることが分かります。すなわち「水平均衡」を決するのはこの「押力」なのです。

そして「一般均衡」においてこの押力を生じるのはこの底辺の「傾き」なのです。

 

 (12)傾斜均衡について

 

 参照図「傾斜均衡」を参照ください。

 

ここから少し応用問題へと移ります。

 

これまでは「二等辺三角形」(順二等辺三角形)における「水平均衡」を考えてきました。つまりはW1=W2であって、かつa=bの場合を考えてきました。ここでa=+Δbの場合を考てみます。

すなわち僅かにa>bの場合を考えてみます。

するとこの場合はa≠bなので、「二等辺三角形」にはなりません。「不等辺三角形」となります。

すると本来この不等辺三角形は「つり合わず」、「失衡」するはずです。

しかし実際には、この不等辺三角形は傾きながら「均衡」するのです。

このような均衡を「傾斜均衡」(略して「斜衡)」と呼ぶこととします。

  もっとも、「傾斜」を強くするとやがて「失衡」します。したがってこの「傾斜均衡」は、水平均衡と失衡との「中間的状態」とも捉えることができます。

 

 (13)自然均衡と外的均衡について

このように「均衡」現象を巡っては、一般に「水平均衡」(平衡)、「傾斜均衡」(斜衡)、「均衡喪失」(失衡)の三態があります。

そして一般的には「水平均衡」している状態に「位置偏異」あるいは「質量偏異」を加えていくと「傾斜均衡」へと移行し、さらに「位置偏異」あるいは「質量偏異」を加えていくとやがて「均衡喪失」します。

これが「一般均衡」における「自然」な状態です。ですからこのような「均衡」を「自然均衡」と呼ぶこととします。

 

他方このような「自然均衡」に対して、例えば人の手で操作を加えることもできます。

「水平均衡」している均衡三角形に対して、左側重りAのある位置A点において重りBのある位置B点に向けて「人的押力」を加えることができます。

 すると少し力を加えた状態では傾斜均衡へと移行します。そしてさらに「人的押力」を加えると、失衡します。

 

この逆もあります。左側を下にし右側を上にして「失衡」している三角形があるとします。この三角形の底辺部分を今度は位置B点で左側へと押してみます。すると「失衡」の状態から「傾斜均衡」へと移り、さらには「水平均衡」へと到ります。

このように「人的押力」等を加えることによって、「自然均衡」において「傾斜均衡」あるいは「失衡」へと導くことができます。また逆に「人的押力」等によって「失衡」状態のものを、「傾斜均衡」へと、さらには「水平均衡」へと導くことができます。

 

このように、「自然均衡」に対して「外力」を加えて「水平均衡」、「傾斜均衡」あるいは「失衡」へと導かれた状態を「外的均衡」と呼ぶこととします。

このように、「自然均衡」において均衡しない場合においても、「外的均衡」においては均衡する場合があります。逆に「自然均衡」において均衡する場合でも、外的均衡において均衡しない場合があります。

 

これは「一般均衡」において均衡しない場合においても、「ロバーバル均衡」において均衡する場合があり、「一般均衡」において均衡する場合でも、「ロバーバル均衡」において均衡しない場合がある、ということに照応します。

ということは、ここに何らかのヒントがあるはずです。

 

 (14)一般均衡の基礎としての張力

 一般均衡においては、まずは「張力」が重要な役割を果たします。一般均衡において、「鉛直抗力」を伝搬するのは基本的には「張力」です。このことは、静止平衡状態の均衡三角形を見れば明瞭です。このように均衡の根本においては「張力」がその土台となっています。

 

もっとも運動均衡の過程等においては、「鉛直抗力」が「張力」からだけでは無く、「押力」からも供給される局面があります。具体的には運行均衡等の局面において「複合鉛直抗力」が生じる場合です。この場合においては「押力」も「張力」とともに、「鉛直抗力」供給の役割を担います。しかしそうであっても、全体としては、一般均衡において「鉛直抗力」を伝搬するのは主として「張力」である、ということになります。

 

 (15)一般均衡における押力の決定的役割

 このように、鉛直抗力したがって重力との関係では、「張力」が、その主導的な役割を果たします。しかし「均衡現象」という「表舞台」に限ってみれば、その均衡の成否を決するのは「張力」ではなく「押力」です。均衡現象の土台である「張力」は「均衡現象」という表舞台の背後に回ります。

 

均衡現象においては、AからBへと到る押力FABと、BからAへと到る押力FBとがぶつかり合います。そして押力FAB>押力FBAならば、均衡三角形の底辺は右へと動き、結果、均衡三角形は左回転します。 逆に押力FAB<押力FBAならば、均衡三角形の底辺は左へと動き、結果、均衡三角形は右回転します。

 

そして押力FAB=押力FBAならば、そこで均衡三角形は静止します。すなわち「静止均衡」します。あるいはその静止状態を基準として「運動均衡」します。これが「均衡現象」の「本質」です。

そしてこの「本質」は、「自然均衡」においても、「外的均衡」においても、何ら変わるところがありません。

とすれば、「ロバーバル均衡」においても、この「本質」は変わることがないであろうと考えられます。

 

とすれば「一般均衡」を「ロバーバル均衡」へと転化をさせる何らかの「要因」、何らかの「外力」が存在しているものと考えられます。

それでは、この「要因」、この「外力」が「何」であるか、この解明が、ロバーバル均衡分析の「決定点」、クリティカル ポイントになるとの、強い確信が湧いてきます。

  ここで一般均衡についての分析を一旦停止して、「ロバーバル均衡」そのものの考察へと戻ります。

 

 (16)ロバーバル機構の諸類型

 ロバーバル機構の原型は前述のとおりです。

 しかし実際には、このロバーバル機構は、様々なはかりに利用され、原型とはかなり違う形となったものもあります。

 例えば先程の「等比皿手動はかり」です。この「等比皿手動はかり」は、ロバーバル機構の原型をかなり留めています。

 しかしそうであっても、原型ロバーバル機構と等比皿手動はかりとでは、大きく異なる点があります。原型ロバーバル機構においては、二本のさおの中間部分に「重り」があります。これに対して、等比皿手動はかりでは、この二本のさおの「上側」に「重り」を載せる「皿」があります。

 

すなわち原型ロバーバル機構と等比皿手動はかりとでは、「重力点の位置」が、決定的に異なるのです。通常、「均衡」においては「重力点の位置」は極めて重要です。この重要「重力点の位置」が異なるにも関わらず、原型ロバーバル機構においても等比皿手動はかりにおいても、共に「ロバーバル均衡」が「成立する」のです。

ここに「ロバーバル機構」の解明において、重心点の位置の違いにも関わらず「何故」両者において共に「ロバーバル均衡」が成立するのか、という「新たな謎」が生じるのです。

 

しかも更に驚くべきことがあります。いわゆる「片ロバーバル機構」というものも成立するのです。

 原型ロバーバル機構においても、皿手動はかりにおいても、「構造上」両者は共に「左右対象」です。

 すなわち「構造」において、1つの「平行四辺形」〈(四角形を含む)の真中に「主柱」があり、その「主柱」を境として、左右にそれぞれ同じ大きさの「平行四辺形」があります。

 

「感覚的」には、この「左右二つ」の平行四辺形が有るからこそ、この不可思議な「ロバーバル均衡」が成立するのだ、と思われます。しかし事実はこの「感覚」・「直感」を裏切ります。

  実際上、「ロバーバル均衡」は、この左右の平行四辺形の「片側」だけでも「成立します」。このような「バーバル均衡」を「片」ロバーバル均衡」と呼ぶこととします。

この「片ロバーバル均衡」の成立によって、「ロバーバル機構」の応用範囲は、更に一層大きく拡大するところとなりました。

 「片ロバーバル機構」については、参照図「片ロバーバル機構概念図」をご参照ください。

 

 (17)一般均衡とロバーバル均衡との結合

 ここで重要なことは、この不等比皿手動はかりについて、その上皿の側に「片ロバーバル機構」を組み込むことができることです。

 「不等比皿手動はかり」については、参照図「不等比皿手動はかり概念図」をご参照ください。

すると、この上皿にはロバーバル均衡が成立するが、その反対側の「増し重り」側には、ロバーバル均衡が成立しないという状態になります。これにより「増し重り」側に「送り重り」を配置し、微妙な計量を行なうことが可能となり、他方上皿にのせる物については、多少上皿の中心から外れた部分に物を置いたとしても、その物の重さをかなり正確に計ることができます。すなわち一般均衡の長所とロバーバル均衡の長所とを、組み合わせることができます。

 

この「片ロバーバル均衡」の登場により、更にまた「新たな謎」が生じました。これまでのロバーバル機構、すなわち原型ロバーバル機構また等比皿手動はかりを「両ロバーバル機構」と呼ぶこととします。この両ロバーバル機構においては、一つ平行四辺形の中心に1本の主柱があり、その主柱の左右に同じ大きさの平行四辺形があり、「両ロバーバル機構」は構活上「左右対称」をなしていました。

そしてこの両ロバーバル機構においては、その左右の上皿のどこに置いても、「同じ重さ」同士の物は平衡するが、同じ重さで無ければ「つり合わない」ものでした。

 

しかしこの「片ロバーバル機構」においては、一定のモーメントの法則に従う限り、同じ重さで「無くても」「つり合って」しまいます。

 実際に、上皿に載せる物の重さが1kgとすると、これにつり合う「増し重り」の実重量は、例えばその5分の1の200gとなります。

そもそも「片ロバーバル均衡」が「何故」成り立つのか、また同じ重さで無くても「何故」つり合うのか?

謎が謎を呼び思考の混迷は深まって行きます。

 

しかし矛盾が頂点に達した時は、またしばしば新たな転換の時ともなります。

 両ロバーバル機構においては、一つの大四辺形と左右二つの小四辺形があります。

「直感的思考」では、この三つ平行四辺形の絡み合いにより「ロバーバル均衡」が成立するのだ、と思われました。そしてこの仮定に基づき複雑な計算を繰り返した挙げ句、結局全て徒労に終わりました。

 

 しかし今や「片ロバーバル機構」が存在し、「片ロバーバル均衡」が成立することを知りました。

 とすれば、何も三つの平行四辺形の複雑な絡み合いを分析する必要はありません。

 たった一つの平行四辺形、そこに隠された一つの本質を明らかにするだけで、「ロバーバル機構」・「ロバーバル均衡」に関する「全て」の謎が「一挙に」解かれるはずです。

とすれば一つの平行四辺形におけるその「隠された本質」とは何なのか?それは意外と「シンプル」なものであるに違いない。ここまで来てようやく「無限ループ」のトンネルの暗闇の向こうに、ほのかに出口の明かりが見えて来ました。

 

(18)垂直均衡について

  ここで「片ロバーバル機構」の考察の前に、いったん「垂直均衡」について分析を進めておくことします。

棒の一端を軽く持って、他の端を自然に垂らすと、棒は「垂直」の状態で「均衡」します。この「均衡」を「垂直均衡」あるいは略して「垂衡」と呼ぶこととします。

経験からも分かるようにこのような「垂直均衡」にも静止均衡(静止垂衡)と運動均衡(運動垂衡)とがあります。

 この静止垂衡は、ばね式指示はかり(いわゆるバネはかり)の「水平器」に活用されています。いわゆる「下げ振り」と呼ばれるものがそれにあたります。

そしてこの「下げ振り」の先端が一定の範囲にあれば、そのばね式指示はかりの「上皿」は一応「水平」であることとなります。

 

この例では、「垂直均衡」の「重心点」は「支点」の「下側」にあります。

 この場合、「垂直均衡」としては「安定性」があります。このように「重心点」が「支点」の下側にある場合の垂直均衡を、「下重心型垂直均衡」と呼ぶこととします。

 

これに対して「垂直均衡」の「重心点」が「支点」の「上側」にある場合もあります。この場合は「垂直均衡」としては「不安定」です。したがって、このように「支点」の「上側」に重心点がある場合に、この「垂直均衡」を「安定」させようとすれば、何らかの「安定補助装置」が必要となります。そしてこのように、「重心点」が「支点」の「上側」にある場合の垂直均衡を「上重心型垂直均衡」と呼ぶこととします。

 

そして「垂直均衡」においても、「傾斜状態」で均衡する場合があります。

例えば棒の先に横向きに重りが付いていて、その結果その棒を垂らすと、その棒がやや傾いて「垂直均衡」します。このように傾斜しながら垂直均衡する場合を「傾斜垂直均衡」(傾斜垂衡)と呼ぶこととします。

 

 (19)片ロバーバル機構の構造

 さて再び「片ロバーバル機構」の分析へと移ります。

 ※参照図「片ロバーバル機構の構造」をご参照ください。

 

「主柱」をはさみ、「上さお」の左半分が「ロバーバル均衡」部分であり、「上さお」右半分が「一般均衡」部分で、その「上さお」右端には、これとつり合う「重りB」を載せています。ただしここで考察の便宜のためにこの「片ロバーバル機構」自体には「重さ」が無く、「重り」には「重さ」があるものとします。

 

「下さお」については、右半分がなく、左側はC点において、支柱左と接続しています。

 「片ロバーバル機構」において、「均衡三角形」は△PABであり、その「支点」はP点です。

 またこの支点P点は「主柱」状にあり、「回転軸」となっており、均衡三角形はこの支点Pを中心として左右に振れることができます。また支点の「真下」には、均衡の「基準」となるO点があります。

 

支柱は、右支柱は無く支柱左のみあります。右支柱の上部には「上皿」Qがあり、上皿には「重り」Lを載せています。この左側の重りAの重さはW1であり、右側の重りRの重さはW2で、W1=W2とします。P点同様、A点、C点、D点も「回転軸」となっています。

上皿Qの「真下」にA点がありA点からO点までの距離をaとし、B点からO点までの距離をbとし、a=bとします。

これが、「片ロバーバル機構」の基本的構造です。

 

(20)扁平均衡三角形について

  ここで一旦「均衡三角形」について、今少し考察を進めます。この「均衡三角形」には「高さ」があります。「均衡三角形」において、左右の重りに一定の「差」がある場合、「高さ」が高ければこの「均衡三角形」はわずかに「傾斜」するだけで「均衡」します。他方、「均衡三角形」において「高さ」が低ければ、「均衡」するためにはより大きく「傾斜」する必要があります。

 

 この意味で、「均衡三角形」の「高さ」が高ければその「均衡」はより「安定的」で、「高さ」が低ければその「均衡」はより「鋭敏的」であると、言うことができます。

  このように「均衡三角形」において、その「高さ」は重要な要素であり、その「高さ」ははかりの種類等によっても異なるところとなります・

  そしてその「高さ」が低ければ、その「均衡三角形」はより「扁平」となります。

  参照図「扁平均衡三角形」をご参照ください。

 

 そしてその「扁平均衡三角形」が極限まで達すると、一つのさおの内部に「扁平均衡三角形」を形成するところとなります。

  しかし、「限界」を超えて「扁平」となると、「荷重」を支える「張力」とこれに応じる「押力」が「過剰」となり、さお自体が「変形」あるいは「破損」等して、正常な均衡を維持できなくなります。

 

 (21)支柱の傾斜について

  ここで、「均衡三角形」と「片ロバーバル機構」との「関係」について、分析を進めます。

  参照図「均衡三角形の傾斜に伴う支柱左の傾斜」をご参照ください。

 

 この参照図にあるように、「均衡三角形」の「高さ」が高ければ、「さお上」の回転に伴って、「支柱左」が傾くところとなります。したがって、この「支柱左」の傾きを最小限にしようと思えば、「均衡」を失しない程度に、「均衡三角形」を「扁平」にすることが必要となります。

  そしてこの「均衡三角形」の「扁平化」により、参照図「扁平均衡三角形の傾斜と支柱左の傾斜」にあるとおり、支柱左を垂直に保つことができます。

 

(22)ロバーバル機構の根本原理について

 ここで、支柱上のC点に着目します。

 そしてこのC点から下さお一旦外します。

 するとこの支柱左は下さおを外すとその「安定性」を失い、重りのある方向へ「倒れ」ようとします。

  またCを外さずA点を外しても支柱左は、重りのある方向へ倒れようとします。

 このことより、このA点とC点は「転倒防止補助装置」の役割を果たしていたことが分かります。

 

 次に、A点を外した状態でさらに観察を続けます。

  参照図「上さおの分離と支柱左の垂直失衡」と「支柱左の回転力のロバーバル応力への転化」をご参照ください。

  参照図において、もし重りAが上皿の中心にあれば、不安定ながら「支柱左」は「垂直均衡」を保つでしょう。

  しかし図のように重りAが上皿の中心から左に位置偏異しているならば、重りAとともに「支柱左」も左側に倒れるでしょう。

  ここで、A点を「外した」ので、その「回転運動」を「見る」ことができました。すなわちそこに「力」が働いていることを「見る」ことができました。

 

 しかしA点が上さおに「接続」している状態ならば、「その力」を「直接」「見る」ことはできません。しかしA点が「接続」されている状態でも、そこに「回転力」が作用していることが、「分析」により確認できました。

 この「回転力」は、A点が上さおに接続されていると、「左方向」へと作用する「力」となります。ここでこの「力」を「応力F」とします。

 

 そしてその「応力F」は、「均衡三角形」の「底辺部分」に作用しています。

  またその「底辺部分」では、押力FABと押力FBAとが、「押し合って」います。

  ここで「重りA」が上皿の中心部より左側に位置しているためa(=aa)>bとなっています。その結果押力FAB>押力FBAとなり、その結果「均衡三角形」は「左回転」しようとします。しかしここの「力」Fが加わります。その結果、以下のようになります。

  押力FAB押力FBA+応力F

  

 以上により、「均衡三角形」は、その「傾斜」を「停止」するか、あるいはその「傾斜」をより「緩やか」なものとします。すなわち「ロバーバル均衡」がここに成立します。

  

 以上の仕組みは、重りAが右側に位置偏異した場合も「同様」です。

 また「一定の範囲」では、重りAの「位置偏異」が大きければ大きいほど、その「回転力」も大きくなります。したがって、その「回転力」が「転化」した「ロバーバル応力」もまた大きくなります。そしてそのロバーバル応力は、均衡三角形の「回転」に対し、その「抵抗力」として作用します。

 

 おもりAの「位置偏異」が大きければ大きいほど、「均衡三角形」自体の「回転力」は「おおきく」なります。 しかし他方、「同時に」、支柱左の回転力によって生じる「ロバーバル応力」もまた「大きく」なります。これによって、「均衡三角形」における「総合的」回転力は、縮小・減少します。その結果、均衡三角形はその「傾斜」を停止するか、あるいはその「傾斜」をより緩やかなものとします。これが「ロバーバル均衡」の「根本原理」です。そしてまた、重りAの「位置偏異」に「応じて」「ロバーバル応力」が生じるがゆえに、ロバーバル応力をロバーバル「応力」と呼ぶことができます。

 

 (23)ロバーバルクランクの生成

  さて次に「ロバーバルクランク」の生成について分析を行います。

  参照図「ロバーバルクランクの生成」をご参照ください。

 ここでこの支柱左が左回転しその軸を左側に傾けようとするまさにその時に、「下さお」が接続されていたらどうなるでしょうか?

 

支柱左は一方では重りAにより左に傾こうとし、他方では「下さお」はこれを「直立」させようとします。

その結果、A点より上部は左側へ傾こうとし、A点より下は直立し続けようとします。

この結果、支柱左はA点において左側に「折れ曲がろう」とします。

 すなわち支柱左はA点において、「クランク」の状態になろうとします。これを「ロバーバルクランク」と呼ぶこととします。

 

しかしその時支柱左は「剛体」として直線状態を保とうとします。その結果、支柱左のA点において、支柱左が一種の「ばね」となり、「ロバーバル機構」に一定の「弾性」を与えます。

 

(24)「原型ロバーバル」機構におけるロバーバル均衡

  以上の考察は、「片ロバーバル機構」のみならず、「原型ロバーバル機構」にも当然ながら当てはまります。

  ご参考のため、参照図「さお上からの支柱分離」及び参照図「ロバーバル機構と均衡」をご参照ください。

 

 (25)ロバーバル均衡と位置偏異

以上、「ロバーバル機構」・「ロバーバル均衡」の本質を明確にしてきましたが、それではこの「ロバーバル均衡」の「本質」が「どのように「現象」するかを解明していきます。

 

まず、①ロバーバル均衡は「何故」、「位置偏異」に応答しないのか?

これはこれまでの考察から明らかですが、改めて明確にします。

 

上皿Qの「中心」に重りAがある場合、現象重力点と仮象重力点とは「一致」します。したがってこの場合はa=bとなり、そもそも「ロバーバル均衡」では無く、「一般均衡」が成立します。

 

次に重りAが上皿Qの中心から左方向に移動するとします。すると、支柱左は「左側」に傾きます。この結果「ロバーバル応力」が生じ、ロバーバル応力は均衡三角形の底辺部分に対して左向きの「押力」を与えます。この「押力」が「外的押力」として作用し、「自然均衡」は「外的均衡」へと転化します。この結果、「失衡」すべき「均衡三角形」は「失衡」せず、「水平均衡」を持続するあるいは「緩やかな」「傾斜均衡」を形成します。

 

しかし「ロバーバル応力」は「万能」ではありません。「ロバーバル応力」は「応力」であり、「他の力」の存在を「前提」として生じるものであり、したがってある力に対する「抵抗力」であるに過ぎません。

したがってこの「ロバーバル応力」は、前提となる「ある力」(ここでは右向きの押力と左向きの押力との差力)以上の力とはなりません。すなわち「ロバーバル応力」には、一定の「限界」があります。

「ロバーバル応力」は、この「限界内」において、「失衡」を「傾斜均衡」へと緩和し、急角度の「傾斜均衡」を「より緩やかな」傾斜均衡へと変え、「緩やかな傾斜均衡」を「水平均衡の持続」へと変えるに過ぎません。

 すなわち「ロバーバル応力」の作用は、「位置偏異」による「水平均衡」に対する作用を「緩和」するに過ぎません。

 

 (26)ロバーバル均衡と偏置誤差

 このことを明確に示すものが「偏置誤差」です。

 重りAを上皿Qの中央に置くと、重りAは右側の重りBと「水平均衡」します。

 これはこの位置で「一般均衡」が成立するからです。

 

しかしこの重りAを、上皿の左側にあるいは逆に右側に異動させると、この「移動」が大きければ大きいほど「傾斜均衡」の「傾斜角度」は「大きく」なります。この「傾斜角度」変異が、「度表」(目盛板)上に「偏置誤差」として現れます。

 このように「ロバーバル応力」は、それぞれのはかりの「性能」にも依りますが、「位置偏異」による作用を「打ち消す」ものではなく、この作用を「緩和」するものです。

しかしそうであっても、ロバーバルによるこの「ロバーバル機構」の「発明」(あるいは「発見」)は、人類の科学的進歩において画期的役割を果たし、今もなお果たし続けています。

 

(27)ロバーバル均衡と右位置偏異

 さてこれまでは重りAを主に上皿の中心点の左側に移動させましたが、今度は逆に重りAを上皿の中心点の右側に移動させてみます。

するとこれに伴い「仮象重心点」はA点の右側へと移動します。これによりa〈bとなります。

 この結果、押力FAB<押力FBAとなり、均衡三角形は右回転を始めようとします。しかし同時にまた支柱は右方向ヘ転倒しようとします。この結果この場合でも「ロバーバル応力」が生じますが、しかしこの「ロバーバル応力」は右向きへと作用します。

その結果、「ロバーバル応力」は「右向き」の押力として作用し、均衡三角形が右回転しようとするのに対し、その「抵抗力」として作用します。

 この結果均衡三角形は、「水平均衡」を維持するかあるいは「緩やかな」左肩上がりの「傾斜均衡」となります。

 

以上、右位置偏異においても、力の「向き」は「逆」ですが左位置偏異と同様に「ロバーバルクランク」及び「ロバーバル応力」が生じ、「水平均衡」を維持するか、あるいは「緩やかな」傾斜均衡へと到ります。

以上、右位置偏異においても、左位置偏異と同様に、ロバーバル応力によって一般均衡がロバーバル均衡に「転化」します。

 したがって、重りAの重さ=重りBである限り、重りAが上皿Qの何処にあろうと、その「位置」に基本的には「関わりなく」片ロバーバル機構は「均衡」(水平均衡または傾斜均衡)します。

 

以上、「片ロバーバル機構」の左側部分においては「ロバーバル均衡」が成立し、そしてその「ロバーバル均衡」は「位置偏異」には「応答しない」ことが明らかとなりました。ここに「何故」ロバーバル均衡は、「位置偏異」に「応答しない」のかという「謎」が、解明されました。   

 なお、「片ロバーバル機構の右側部分は、「ロバーバル均衡」を形成せず「一般均衡」を形成するので、「片ロバーバル機構」においても、B点では「位置偏異」に「応答する」ことは、言うまでもありません。

 

(28)ロバーバル均衡と質量偏異

 さて、「ロバーバル均衡」においては、「位置偏異」には「応答せず」、重りAを上皿Qの「何処に」においても、基本的には、その重りAを上皿Qの「中心点」に置いたのと「同様」の結果となりました。

 

以上はW1=W2の場合ですが、W1W2の場合であっても、「ロバーバル応力」が生じる限り、「同様」の結果となります。

すなわち重りAを、上皿Qの「何処」に置いても、それは「重り」Lを、上皿Qの「中心点」に置いたのと「同様」な結果となります。

 ここでW1W2ならば、重りAを上皿Qの中心点に置いた場合、重りAと重りBとは「つり合いません」。

 

したがってこの場合、重りAが上皿Qの「何処」にあろうと、重りAと重りBとは「つり合わず」均衡三角形は「失衡」します。つまりW1W2であるならば、「ロバーバル均衡」は「必ず」応答し、この「均衡三角形」は「失衡」します。ここに「ロバーバル均衡」をめぐるもう一つの「謎」が解けました。

 

ここで余談ですが、「ロバーバル均衡」においてW1=W2ならば、上皿の「何処」においても「均衡」するのに、わずかにW1W2となったならば、たちどころに「失衡」する「ロバーバル均衡」は、一見「神秘的」であり、また「美しく」さえあります。

 

(29)片ロバーバル機構と等比皿手動はかり

 以上により、「片ロバーバル機構」においては、その片方(左側)「ロバーバル均衡」が成立し、その反対側(右側)に、「一般均衡」が成立することが分かりました。

 

するとここで、右側の「一般均衡」の部分を「ロバーバル均衡」に取り替えるとどうなるか?

 かりの「両側」に「ロバーバル均衡」を配置した「等比皿手動はかり」となります。

この「等比皿手動はかり」においては、左側部分のみならず、右側部分においても「ロバーバル均衡」が成立し、「位置偏異」には「応答しない」が、「質量偏異」には、「応答する」ところとなります。

  したがってこの「等比皿手動はかり」は、「同質量」のものを数多く計量・複製する作業に適しています。

 

 (30)ロバーバル静的・動的均衡

 さて、この等比皿手動はかりの二つの上皿に重じ重さの重りを載せます。重りはやや軽い目が良いです。

 

そしてこの等比皿手動はかりを「静止」させます。この重りは各上皿の中心点に置きます。

「ロバーバル均衡」といえども「万能」では無いで、重りこの「中心点」から離れると、幾ばくかの「偏置誤差」を生じます。この為、例え「ロバーバル均衡」が組み込まれているはかりであっても、物を計るときは、その上皿の「中心点」に載せなければなりません。

 

そうするとこの等比皿手動はかりは、「水平均衡」の状態で「静止」均衡します。

そして、この上皿の片方を軽く弾きます。

するとこの等比皿手動はかりは、「静的均衡」から「動的」均衡に移ります。

 この時私の目には、「この」動的均衡が、ある種の「ばね仕掛け」のように感じられるのです。

 

ここで「ロバーバル均衡」においてその根本的要因をなすのが、「ロバーバル応力」です。そしてこの「ロバーバル応力」が生じるとき、「支柱左」に「曲げる」力が生じます。その結果「ロバーバルクランク」が生成されます。この「ロバーバルクランク」により「支柱左」は、「ばね」の役割も果たすこととなります。

 

等比皿手動はかりにおいては、その右側部分も「ロバーバル均衡」を形成します。

 そしてこの左右両方の支柱が、「ばね」の役割を果たし、「弾性」を発揮します。

  その結果、等比皿手動はかりは「ばね仕掛け」のような、「動的均衡」を生じます。

 

とすれば、「同じ」動的均衡であっても、「天びん」における「動的均衡」と、「等比皿手動はかり」における「動的均衡」とは、そのメカニズムにおいてやや「異なる」、と言えます。

 このように一般に、「ロバーバル均衡」における「動的均衡」は、天びんなどの「一般均衡」とはやや異なる「独特」なものである、と言うことができます。これにより、「ロバーバル均衡」においてその「運動均衡」が、「ばね仕掛け」のようであるという「謎」が解けました。

 ここで「ロバーバル均衡」において、ばね仕掛けのような「動的均衡」が成立するのは、「支柱」における「弾性」によるものであることとなりました。

 

とすると、逆にこの「ロバーバル均衡」において、「支柱」に「弾性」が無ければどうなるか?

 この時生じる「ロバーバル応力」は、さおの「傾斜」に対する「抵抗」とはなり得ても、ばねの持つ「反発」には至りません。

 したがって「支柱」に「弾性」が無い場合、その「ロバーバル均衡」は、「静止均衡」することはできても、ばね仕掛けのような「運動均衡」はすることはできません。

 したがって、「静止均衡」するのみの「ロバーバル均衡」も「ロバーバル均衡」には違いありませんが、ばね仕掛けのように「運動均衡」する「本格的な」ロバーバル均衡・ロバーバル機構を作る為には、支柱の素材が「弾性」を有することが必要である、と考えられます。

 

 (31)上重心型・下重心型ロバーバル機構

 

さてこれまで主に「片ロバーバル均衡」及び「等比皿手動はかり」を主軸として、「ロバーバル均衡」を分析してきました。

 しかしそれでは肝心の「原型ロバーバル機構」はどうでしょうか?

 

 実はこれまで考察してきた「片ロバーバル機構」や「等比皿手動はかり」と「原型ロバーバル機構」とでは、一点「大きな違い」があります。

 それは重りの「重心」の位置です。

 

ここで「両ロバーバル機構」である「等比皿手動はかり」と「原型ロバーバル機構」とを比較してみます。

 すると、等比皿手動はかりでは、重りの重心の位置が、さおの「上側」にあります。そして上さお上にあるその「現象重力点」を支えとして、その支柱は「直立」している状況です。

 他方「原型ロバーバル機構」においては、重りの重心の位置が、さおの「下側」にあります。

そしてその「現象重力点」が上さお上にあること自体は「同じ」ですが、しかしその支柱はこの「現象重力点」から「懸垂」しています。

 

このように「等比皿手動はかり」においてはその支柱が「直立型」であり、「原型ロバーバル機構」においては、その支柱が「懸垂型」です。「直立型」支柱の場合、何らかの「転倒防止補助装置」(例えば「下さお」のような)が無ければ、容易に安定を失い「垂直失衡」し「転倒」します。

これに対して、「懸垂型」支柱の場合、重りの重心がこの支柱の左側あるいは右側に「偏って」配置されたとしても、「垂直失衡」することはありません。しかしこの場合、「傾斜」垂衡します。

「片ロバーバル機構」の「懸垂型」支柱において、その重りを支柱の軸から「左側」に配置するとします。するとこの支柱は同じく「左回転」し、左側に傾き「傾斜垂衡」します。

 以上、「直立型」支柱であっても、「懸垂型」支柱であっても、支柱の中心軸から左側に荷重すると、「同じく」左側に傾きます。

そして支柱の中心軸から右側に荷重すると、これもまた「同じく」右側に傾きます。

 

以上、「直立型」支柱であっても「懸垂型」支柱であっても、荷重の位置によって生じる支柱の「傾き」の方向は「同じ」です。

 以上「直立型」であっても「懸垂型」であっても、荷動「位置」に対して生じる「ロバーバル応力」また「外力」たる「押力」の「向き」は「同じ」です。

したがって、等比皿手動はかりにおいて「偏置」荷重に対して「ロバーバル応力」が作動し、等比皿手動はかりを「均衡」させるならば、「原型ロバーバル機構」においても「偏置」荷重に対して「ロバーバル応力」が同じ等比皿手動はかりと「同じ向き」に作動し、「原型ロバーバル機構」を「均衡」させます

 

 (32)ロバーバル機構についての総括

 以上により、ロバーバル機構に関する「本質」が解明され、また「ロバーバル機構」に関する「全ての謎」が解き明かされました。

 

この考察において、まずは現象から本質へと到る「下向法」的考察を行ない、次には逆に本質から現象へと到る「上向法」的考察を行ないました。そしてその両結果が「一致」することにより、一応の「クロスチェック」ができたかと思います。また併せてこれにより、ロバーバル機構に係る「全ての」謎が解かれました。

 

ここでロバーバル機構とは何かと言うと、「ロバーバル機構とは、ロバーバル応力により、一般均衡が転化したもの」と言うことができます。したがって、「ロバーバル機構」の「本質」とは何かについて「一言」で言うとすれば、それは「ロバーバル応力である。」と言うことができます。

〔 またロバーバル機構の「本質」とは何かを別の表現で言えば、「ロバーバル機構の本質とは、垂直失衡の水平均衡への(限定的な)転化である。」とも言うことができます。支柱が転倒しようとする力そのものが、さおが水平均衡しようとする力に転化し、そのことによってさおが一定の限度において均衡するからです。※2021年10月21日追記 〕

 

これが、現時点において、私自身が私自身を納得させ得る唯一の答えです。

 以上により「ロバーバル機構」についての考察・分析を終了します。